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[ 2025年6月24日 18:16 ]

主演映画「晴れの国」の東京での公開時に自らMCを買って観客を喜ばせた三田村邦彦
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 【佐藤雅昭の芸能楽書き帳】NHKで大河ドラマ「武田信玄」や連続テレビ小説「京、ふたり」「ぴあの」などの演出を手掛け、退職後は映画監督としても活躍する大森青児さん(76)が2作目の劇場版「晴れの国」をひっさげて全国を回っている。

 9月下旬は福岡県に足を運ぶ予定という。岡山県の出身で、現在は大阪在住。先ごろ上京した際、主演の三田村邦彦(71)を交えて食事する機会があった。大森監督とはスポニチOBで音楽プロデューサー、音楽評論家、俳優としても活躍した小西良太郎さん(23年5月に86歳で死去)の紹介で出会い、2016年公開の初監督映画「家族の日」から親交を深めている。

 「晴れの国」は監督の故郷である岡山県高梁市を舞台に、都会からUターンしてきた青年(前野朋哉)と、山中で自給自足の生活を送り「仙人」と呼ばれる謎めいた初老の男(三田村)が出会うところから物語が動き出し、それぞれ事情を抱えた家族の再生が描かれるヒューマンドラマ。脇を固める歌手の丘みどり(40)や元NHKアナウンサーの石澤典夫(72)も存在感たっぷりの演技を披露している。
 東京では3月1日から7日まで新宿K’s cinemaで上映されたが、連日の大盛況。「心があったかくなる映画です」とアピールする三田村が自らMCを買って出て、観客を喜ばせた。

 作品に感動し、ロケ先の高梁市まで足を運んだ夫婦がいる。資金が潤沢な大手の映画でもなく、コロナ禍で1年の撮影延期も余儀なくされるなど苦労の連続だったが、スタッフやキャストが丹精込めた熱い思いはスクリーンを通り越して観客の心に届くというあかしだ。この夫婦の話を耳にした大森監督も三田村も「これ以上の喜びはない」と感謝しつつ、さらなる上映の広がりに夢を馳せている。

 バーンと弾ける作品があれば、口コミなどでじわじわと広がっていく佳作もある。こちらの映画も「1人でも多くの人に見てもらいたい」と、スタッフ・キャストが必死にプロモーションに努めている。東京都豊島区の池袋シネマ・ロサで上映中の「結婚の報告」(監督阪本武仁)チームだ。1日1回、午後8時過ぎに始まるレイトショーながら、口コミで連日満員の観客を集めている。

 TOHOシネマズ、ピカデリー、ティジョイ、イオンシネマなどなど全国津々浦々、シネコンが主流となっている中で、「シネマ・ロサ」という劇場は今や我が国屈指の有名映画館と言っても過言ではない。

 なにしろ「カメラを止めるな!」や「侍タイムスリッパー」などがここから生まれている。18年から「インディーズ・フィルム・ショウ」と題したレイトショーを実施。年間30本から40本の作品を1~2週間交替で公開しているが、いまやここでの上映を狙っている映画製作者が尽きない状況だ。

 そんな中で、いま注目を集めているのが5月31日に封切られた「結婚の報告」だ。口コミなどで盛り上がりを見せ、当初予定の2週間興行からすぐに延長が決まった。関西を拠点に活動する中野劇団の人気演目を阪本監督が映像化。とあるバーが舞台。幸せなはずの2組の“結婚報告”があらぬ事態へと発展していく、シチュエーション・コメディー。

 阪本監督はじめ、主要キャストの高橋里央(31)、岡本智礼(34)、市原朋彦(40)、今村美乃(38)らが劇場前でビラ配りも行って大アピール。連日のように池袋に通う市原は「定期券を買いました」と打ち明けるほどの熱の入れようだ。

 もちろん大前提として作品自体が面白い。加えて「ここから全国へ」との関係者の懸命な願い。シネマ・ロサでの上映は6月27日で終わるが、「三谷幸喜さんが、この映画、観たらきっと焦りそうです!(笑)」(別所哲也)、「こんなオモロイ話、誰がどこで思いついたんや。ええ加減にしたってくれよ。久しぶりにいちいち笑ったわ。」(井筒和幸監督)などなど著名人から多数寄せられたメッセージも後押しとなって、全国に拡大していく可能性も大だ。「ひょっとしたら“カメ止め”“侍タイ”に続く3匹目のどじょうに」と期待する声も聞こえる。

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