歴史的円安よぎる新年の旅路 狭まる日米の金融政策余地
2026年の円相場は、どこから出発するのか。12月の日米金融政策会合が開かれるなかで、市場参加者の関心はこの1点に集まっている。 10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場参加者の予想通りに0.25%の追加利下げが決まった。問題は会合後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見だ。異例の反対3票の影響もあったせいか、政策金利は経済を熱しも冷ましもしない中立金利の推計範囲に入ったと
円相場、市場の目線は「26年も下落」 根強い構造的円売り
外国為替市場で対ドルの円相場が弱含んでいる。日銀の利上げ観測が強まる一方、財政拡張への警戒感がくすぶり、円の上値を抑えている。需給面での構造的な円売り圧力も依然強い。8日には財務省が10月の国際収支統計(速報)を公表する。貿易赤字の拡大や国内勢による活発な対外投資が続けば、2026年も円の先安観が優勢になりそうだ。 日銀の植田和男総裁は1日、名古屋市での金融経済懇談会で18〜19日に開く金融政
「統計空白」の深い傷、FRBの判断難しく 12月FOMCは波乱含み
12月の追加利下げの是非をめぐり、米連邦公開市場委員会(FOMC)内が分裂状態にある。過去最長となった米政府機関の閉鎖が終わり、凍結されていた政府統計の公表は再開したが、次回会合の12月9〜10日までに入手できるデータは限られる。市場では利下げ期待が先行するが、合意形成はいつにも増して難しい。大詰めを迎えた米連邦準備理事会(FRB)の次期議長人事も絡み、2025年最後のFOMCは波乱含みだ。
米年末商戦へ、資産効果で温度差 中低所得層は「お得感」重視
米国では11月末から12月頭にかけて年末商戦が本格化する。11月28日に大規模セールイベント「ブラックフライデー」、12月1日に「サイバーマンデー」が開催され、米経済の行方を握る個人消費の状態を映し出す場となる。米国では株高による資産効果がある一方、恩恵を受けられない消費者は「お得感」を求める姿勢を示している。 複数の調査が年末商戦の売上高が2024年に比べ増収と予想しているが、伸び率は24年並
NVIDIA決算、成長期待に高まるハードル バブル説にCEO何語る
米半導体大手エヌビディアは米西部時間19日(日本時間20日)、2025年8〜10月期の決算を発表する。人工知能(AI)相場をけん引し世界初の時価総額5兆ドル(約770兆円)を達成したが、値動きには期待先行のバブルではないかと警戒する声も出始めた。市場の期待を裏付ける成長を示せるか、ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)の発言にも注目が集まる。 QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想によ
ソフトバンクG決算、OpenAIの価値に焦点 株価は先取り
ソフトバンクグループ(SBG、9984)は11日、2025年4〜9月期決算を発表する。出資先の米オープンAIの企業価値拡大を織り込み、SBGの株価は急ピッチで上昇してきた。人工知能(AI)関連銘柄への買いが株高をけん引するなか、受け止め次第で市場の潮目が変わりかねないだけに、決算内容はこれまで以上に注目を集めている。 SBGは保有する株式の価値から純有利子負債を差し引いた「時価純資産(NAV)」
原油、OPECプラス有志国の増産動向にらみ 米のロシア制裁で
石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国のロシアなどでつくる「OPECプラス」の一部有志国が2日に会合を開き、12月の原油生産量を決める予定だ。市場は増産ペースを加速させるかどうかに注目する。米国がロシアへの制裁を強化し、代替需要を狙う中東産油国が増産に前向きになる可能性がある一方、ロシアは増産に慎重とみられる。 サウジアラビアやロシアなどOPECプラスの有志国は、自主的な減産枠組みの解消に向けて、
SANAEノミクスと株式市場の共鳴 高市政権が本格始動
株式市場の追い風を受けて高市早苗新政権が誕生した。経済には心ここにあらずの石破茂前政権に幕が引かれ、首相指名をめぐるモヤモヤも晴れ、新首相の政策に期待が高まる。石破ディスカウントの解消、政局リスクの軽減、高市プレミアムを織り込む三重奏といえる。 積極財政と金融緩和による高圧経済が大きなテーマなのだろうか。高市新首相は21日の閣議でガソリン税の暫定税率の廃止や年収103万円の壁の引き上げなどを指
最高値更新の裏付け探す4〜9月期決算 半導体に上振れ期待
10月23日から3月期企業の2025年4〜9月期決算発表が本格化する。日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など指数が期待先行で高値圏にあるなか、けん引役のハイテク株に業績の裏付けが伴うかどうかに市場参加者の視線が集まっている。 日経ヴェリタスが16日時点で市場予想の平均(QUICKコンセンサス)の純利益を集計したところ、3社以上の証券会社の予想がある201社の25年4〜9月期は5%減益の見通
高市財政はトラス・ショックを起こさない
公明党が自民党との連立離脱に踏み切り、政局は大乱に突入した。高市早苗新総裁がすんなり首相となる保証はなくなった。その前から懸念されていた債券市場のトラス・ショックがやって来るのか。 来ない。高市氏の積極財政が幻に終わるからだろうか。それもあるだろうが、もともと日本の財政は債券市場が懸念していたのとは別のところにいるからだ。債券利回りはむしろ低下するかもしれない。 例えば高市新総裁がプライマリーバ