新聞の輪転印刷機の種類によって違いがあるものの、1台の輪転機の中には、インキや水を練るために使われるゴムローラーが、およそ120本程度あります。朝日新聞を印刷している朝日プリンテックの全工場では全部で3000本にもなります。

 ゴムは数年ごとに交換しなければならないので、かなりの費用がかかってしまいます。古いゴムローラーを交換するのではなく、なんとか再生して使い続けられないものかと、2013年から開発をはじめ、15年に完成したのが「ローラ再生装置」です。

ローラ再生装置の蓋が開いている様子。白いボディの中に、黒いゴムローラーが設置されているのが見える

 凹凸に表面加工された鉄ローラーをゴムローラーに押し当て、加圧しながら回転し特殊溶剤を表面に塗ります。溶剤が染みこむことによってゴムが元の厚さに膨らみ、また表面に付着し鏡のようになっている汚れを除去用の部材で取り除くという仕組みです。工場の現場で作業でき、およそ30分程度の作業時間でゴムローラーが新品同様に生まれ変わる優れものです。

 ローラ再生装置は特許を取得し、16年から外部に販売も開始、17年に新聞協会賞を受賞しました。

 ちなみに開発プロジェクトの名前は西城秀樹さんのヒット曲にちなんで「傷だらけのロ~ラ♪」だったとか……。

朝日新聞オリジナルキャラクターの黒猫であるマダニャイが、白髭に左手をあてているイラスト

 マダニャイ
(朝日新聞オリジナルキャラクター)

 夏目漱石著「吾輩は猫である」の有名な書き出しからつけられた。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ」
 年齢は不明だが、こう見えて子猫である。
 文学、とくに夏目漱石の作品が大好き。文豪に憧れていて、実はつけひげである。
 好物はサバ缶。

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