地上からは近づきにくい場所を上空から撮影したり、遠くで起きている事件や事故を取材したりするために、朝日新聞社は自前の飛行機やヘリを持っています。
初めて航空部門が出来たのは遠い昔の大正時代(1922年)。その3年後に社機の「初風(はつかぜ)」と「東風(こちかぜ)」が日本人初の訪欧飛行の旅をやってのけました。
当時としては夢のような計画で、国を挙げての大騒ぎに。搭乗員4人のうち3人が陸軍の所属で、政府も全面協力でした。
約3カ月をかけて、東京―大阪―平壌―シベリア―モスクワ―ベルリン―パリ―ロンドン―ブリュッセル―ローマを巡りました。飛行時間は116時間余り。経由地の至る所で大歓迎を受け、ソ連やフランスなどでは勲章を授与されました。
プロペラ機ですから天候の影響も受けます。ゆく先々での様子を伝える新聞紙面に皆が一喜一憂したそうです。
その訪欧飛行12周年にあたる1937年には、純国産機による第2回訪欧飛行が行われました。
4月6日午前2時12分に立川を発った社機「神風」は台北―ビエンチャン―カラチ―バスラ―バグダッド―アテネ―ローマ―パリを経由して10日午前0時30分(日本時間)にロンドンに到着しました。東京-ロンドン間を94時間17分56秒、亜欧連絡飛行で世界新記録を樹立しました。
深夜の大阪、東京の社屋には到着の報を待つ人々がつめかけ、東京では社屋玄関から数寄屋橋にかけて群衆で埋まったそうです。「只今ロンドンに着きました」と伝えられると集まった群衆から歓声が上がり、「君が代」の歌声がわきあがりました。
京都では祝賀の花火や子どもたちの旗行列、青年団4千人の提灯行列がおこなわれるなど、まさに歴史的なできごとでした。
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 マダニャイ
(朝日新聞オリジナルキャラクター)
 夏目漱石著「吾輩は猫である」の有名な書き出しからつけられた。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ」
 年齢は不明だが、こう見えて子猫である。
 文学、とくに夏目漱石の作品が大好き。文豪に憧れていて、実はつけひげである。
 好物はサバ缶。
